2012年5月17日木曜日

石田衣良「アキハバラ@DEEP」

最初にいっておく。
ミステリとしての濃度はかなり薄い。
(一応、とある視点の問題について仕掛けはあるがおまけ程度)。
36回オール讀物推理小説新人賞を受賞した
「池袋ウエストゲートパーク」
の石田衣良だから
……というのも言い訳にならないレベルだ。
でも、まあ、いいや。
このブログは個人的に好きな小説を紹介するだけだから。


あらすじ
重度の吃音だが、天才的な文章を書く「ページ」。
異常な潔癖症だが、天才的なデザイナー「ボックス」。 不定期にフリーズしてしまう奇病の持ち主だが、天才的なミュージシャン「タイコ」。 コスプレ喫茶のウエイトレスだが、天才美少女格闘家「アキラ」。 10年間の引きこもりの反動で家に帰れなくなった「ダルマ」。 色素欠乏症の天才プログラマ「イズム」。 六人は、人生相談サイト「ユイのライフガード」を通じ、ベンチャー企業「アキハバラ@DEEP」を立ち上げ、画期的な検索エンジン「クルーク」を開発する。


当時、ホリエモンなどの影響で起業ものの異色作として(というか、池袋~が好きで作者買いしたんだけど)読んだけど、この作品のもつ雰囲気に惹かれた。致命的なダメ人間でも才能ひとつあれば、仲間がいれば活躍できるんだ、と。

この作品を読んで、さらに映画版と漫画版とドラマ版を読んで、実際に秋葉原にいってしまった。
ドラマ版でみんなで「作戦会議」してた食堂にも実際に行った。そこまでさせてしまうすごい小説なのだ。僕にとっては。



 僕は美少女アニメにもフィギュアにもエロゲーにもほぼ興味ないけど(パソコンショップには興味全開だけど)あの街特有の、異世界感みたいなものが好き。

けして秋葉原をリアルに描写した作品ではないけど、そういう視点で秋葉原の魅力に気づけたのは収穫だった。ちなみに小説版よりドラマ版、漫画版の方が面白い(映画版はそれほどでもない)。たぶんイズム(プログラマー)が女性の方がいいんだと思う。

ちなみにネット上で俺ほどこの作品に熱意をもっている感想がなかった。
もしかしたら、人を選ぶ作品なのかもしれない。面白いのになあ。

余談ながら、前回取り上げた「The S.O.U.P.」の文庫版解説は石田衣良。互いに同じタイプの作品として、意識しているらしい。

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