2012年5月19日土曜日

綾辻行人「人形館の殺人」

綾辻行人がなんか最近、一般化しかけていてなんか嫌だ。
「アナザー」がアニメ化されて、
アニメおたく界でなんか語られているのがむずむずします。

子供のころに世話になったおにいさんが、
なんか別世界でもてはやされてるかのような……。

終始ぼんやりとしたとらえどころのない雰囲気に包まれた、
「館」シリーズの第4作がぼくのおすすめ。
たぶん一般的には「時計館」「十角館」あたりがウケるんでしょうし、
ぼくもそちらの作品も好きなのですが、
完成度はけして高くないけど、妙に愛着があるのがこの「人形館」。


あらすじ
亡父が残した京都の邸「人形館」に飛龍想一が移り住んだその時から、驚倒のドラマが開始した。邸には父の遺産というべき妖しい人形たちが陣取り、近所では通り魔殺人が続発する。やがて想一自身にも姿なき殺人者がしのび寄る。名探偵島田潔と謎の建築家中村青司との組合せが生む館シリーズ最大の戦慄。


“異色作”。館シリーズの“仕掛け”に慣れてきた読者たちをやっつけてやろうと筆者は考えたのだろうけども、実際にやられてしまう読者が何%いるかは疑問。ただ、「雰囲気」を醸し出してはいるので、どうしても忘れられない傑作。

実に雰囲気がいいのです。この、封印された幼いころの記憶と、じめじめした古都の町の雰囲気が。

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